三頭峠から阿波竜王山へ

4月8日 霧

本日は、まんのう町の川奥にある沢を登って、三頭峠を通って阿波竜王山まで、5時間かけて行きました。

三頭峠の鳥居

江戸時代から昭和の初めにかけて、この峠を越えて、徳島から借耕牛(かりこうし)と呼ばれる農耕牛が香川へ出稼ぎに来ていました。
トラクターが普及するまでは、牛は食料ではなく、労働力だったため、稲作を行う上で非常に重要な価値を持っていました。

しかし、香川では製塩が盛んで、稲わらを叺(かます。塩を入れる袋)にしたため、牛に食わすための稲わらが少なく、徳島から牛を借りて農耕を行っていたそうです。

当時は国道やトンネルがなかったそうで、歩いて山越えする以外に牛が行き来する手段はありませんでした。
こんな山の中を、何千頭もの牛が歩いて行き来していたとは、今から思うと考えられません。

ツチグリの成菌

歩いていると、ツチグリというキノコがいくつもできていました。トゲと丸いのが、土に生える栗を連想させます。
この幼菌をマメダンゴと呼んで、みそ汁に入れて食べる地域もあり、マツタケと同じくらいの値段で取引されるとか。

ちなみに、英語では、ツチグリはearth-star-fungiというそうで、このあたりからも感性の違いが表れているように思います。

阿波竜王山山頂付近の風景。森林限界を超えていないのと、霧のせいで見晴らしはよくない。

今は阿波竜王山の頂上には、木造の展望台が建てられていますが、以前は頂上に神社があったそうです。
展望台の写真を撮るのをうっかり忘れてしまいました。

その神社かどうかはわかりませんが、牛の行き来があった時代には、三頭峠を越えて徳島と香川から独身の男女が出会いを求めて山中の神社で盆踊りが開催されるなど、交流が盛況だったようです。

現在では三頭越えは、休日の登山という単なるレジャーでしかありませんが、100年以上前では、そこに暮らす人たちの日常であり、彼らがどういう思いで峠を越えたのか、思いをはせるのも楽しいかもしれません。

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