祖父の家

祖父の家は、漁師の家だった。家系という意味でも漁師の家だが、家という建築を含めた生活場所そのものが、『漁師』という性格を帯びていた。

家の正面にはすぐ海があり、裏手は山になっていて、山と海との間にできた狭い土地に、数軒の漁師の家が連なっていた。典型的な日本の漁村風景であるが、漁村は海風から家を守るために、山を背にして密集するものらしい。
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